商品開発コンサルが語る-成功事例から紐解く“売れる”コツ

2024年10月23日
インタビュー対象企業:株式会社ヒントワン

株式会社ヒントワンは、1つの小さなヒントをアイデアにつなぎ合わせ、「驚き」「感動」「笑顔」をあたえる商品を提案します。同時にブランディング、販促、展示会プロデュース、生産に関しても国内外の協力工場にて納品までトータルでサポートします。

2023年から食品開発事業をスタートし商品から食品まで更なるチャレンジ継続中です。2023年1月7日七草粥の日にほっこりおかゆのキッチンカー「パーカーズキッチン」をオープン。同年9月には「美返り狐のおいなりさん」を移動販売にてスタートしマルシェ、催事会場、各種イベントに出展中。

2024年7月には静岡市紺屋町に店舗オープン、プレミアムだしいなりの専門店として各メディアからも注目され好評いただいております。出店場所等はインスタグラムにて随時ご案内しております。


会社名

株式会社ヒントワン

設立

2010年8月

住所

静岡県焼津市小土264-1

業務内容

コンサルティング事業、フード開発事業


代表 佐藤 修 様

幼少の頃から人を驚かせたり、笑わせたりをいつも考えていました。良い商品を作っても売れないことを経験し…開発とは=売れる商品を開発する事、「驚き」「感動」「笑顔」子どもの頃のいたずらごころが、私の中では開発の原点となってます。


今回お話を伺うのは、株式会社ヒントワン 代表 佐藤 修です。

現在コンサルティング業とフード開発事業を展開されている佐藤さんは、これまで多様な分野で企画開発・製造販売に携わり、誰もが一度は見たことのあるあの製品を手掛けられたご経験もある商品開発の専門家です。

佐藤さんのご経歴

  • 大手玩具メーカー プラモデルの設計
  • キャラクター自転車の企画、製造、販売
  • キャラクター付きショッピングカートの企画、製造、販売
  • コンサルティング業とフード開発事業を展開中

素晴らしいご経験をお持ちの佐藤さんに、”売れる”商品開発のコツを詳しく伺っていきます。

突破口を開く!アイデア発想の実践テクニック

竹井  本日はお時間をいただきありがとうございます。商品開発において長年の経験を積まれてきた佐藤さんですが、これまでに導き出された成功の秘訣やコツなどはありますか?

佐藤  今までたくさんの失敗もありましたし、もうクビかな…と背筋が凍る思いをしたこともありましたが、その分、学ぶものも多くありました。秘訣とか、そういうことまではっきり伝えることはなかなか難しいのですが、商品開発において私が大切にしているポイントをあげるとすると、まずひとつ目が「アイデアスケッチ」です。これは、情報収集の段階で得たひらめきを具体的にスケッチに落とし込む作業です。ここが開発の約6割を占めると言っても過言ではありません。

竹井  どのような過程でスケッチを進めていくのでしょうか?

佐藤  まずは幅広く情報を収集します。私は普段から異業種の展示会などにも積極的に足を運んでいます。日常でもテレビや雑誌を見たり、旅行先でも真新しいものがあるとつい見入ってしまったり。そうした情報から得たヒント貯めておいて、自分の強みと掛け合わせたものをスケッチに落とし込みます。商品のサイズや形、売り場に置いたときに他社商品と比べてどのように目立させるかなど、細かく描きます。更にはお客さんが商品を手に取る瞬間や、その商品が実際どのように使われるのか、全体のイメージをできる限り具体化していきます。

例えば、過去に開発したキャラクター付きショッピングカートでは、海外で見かけたカートがきっかけでした。子どもが乗れるような大きな車とショッピングカートが一体になっているのを見て、これは日本では無理だろうと最初は感じたのですが、日本仕様に設計できないか試行錯誤したところ、子どもが楽しんで乗っている姿や、カゴを載せられることで保護者もゆっくり買い物ができている姿を思い描くことができました。それが開発から20年以上たった今も愛される商品になっていて、とても嬉しいです。

とても重要なこととして、商品アイデアを単純に考案するのではダメです。どのような顧客にどのような価値を提案する商品なのか?最終的に商品がどのように量産されるか?どのような戦略販売をとるか?などなど事業面についてもかなり具体的にイメージできなければ優れた商品アイデアにはなりません。事業面が具体的ではない単なるひらめきはその後の事業が結局うまくいかないんです。ですので、商品開発は幅広い知識と経験がものを言います。

ビジネスを守る!知的財産戦略の必須ポイント

竹井  玩具事業となるとコンテンツの知的財産関連で気にしていたことなどありましたか?

佐藤  過去の経験からキャラクター商品を扱うことが多かったのですが、版権(著作権者からのライセンス)取得が非常に重要です。版権は使用範囲を細かく定められるため、その商品に対して1事業者までという決まりがある場合が多いです。したがって、取得できれば、参入障壁を築くことができるのでその意味では事業を安定化できます。

竹井  著作権以外の知的財産では苦労されたことはなかったですか?

佐藤  キャラクター付きのショッピングカートでは、開発の過程で特許関連の問題も発見されたのですが、事業開始前でしたので適切に処理し、後のトラブルを未然に防ぐことができました。知的財産関連は早めに適切に対処することが重要ですね。

勝ち残る商品開発!スピード感が未来を変える

竹井  様々なことに留意して慎重に進める必要がある反面、慎重になりすぎてなかなか先に進まないというジレンマもあると思いますが、このあたりどのようにお考えでしょうか。

佐藤  キャラクター付きのショッピングカートの場合は企画から製造まで2年で進めました。これも成功に繋がった一因だと思います。アイデアは思いついた時が旬ですから。市場の流れは非常に速いので、思いついたらすぐに出さなければ他社に先を越されてしまうこともあります。スピード感を持って開発を進めることで、タイミングを逃さないことが重要だと感じています。

売上を伸ばす!データ活用型プロモーションの成功術

竹井  営業・プロモーションも難しいと思うのですが、その点どのように工夫されていますか?

佐藤  キャラクター付きショッピングカートを販売する前段階として、まずはあるスーパーで試験的に導入しました。その時に、カートを使ったお客様の滞在時間や買い物の単価がどのように変化するかをデータとして集め、その結果を元に他のスーパーにも提案しました。実際、試験導入後には売上が向上し、そのデータが非常に有効な営業材料になり大手スーパーとの契約に繋がりました。やはり、新商品を購入するとどのような良いことが起きるかということを客観的データに基づいてプロモーションできると強いですね。

竹井  実際に利用されるお客様の声などの情報は事業に活かしていましたか?

佐藤  そうですね。実際にそのカートを見たお客様からの多く声をいただきました。他スーパーでも「お客様から導入してほしいというお声があって」とお聞きすることもありました。SNSなどない時代でしたから大変有難かったです。今ではInstagramなど直接お声をいただける場所があるのでとても良いですよね。今の時代ではSNSの活用は必須だと思います。

次なる一手!未来を見据えた商品開発の展望

竹井  貴重なお話をいただきありがとうございます。最後に、佐藤さんの今後やってみたいことや展望についてお聞かせください。

佐藤  現在考えているのは、私が手掛けるおいなりさん専門店の「見返り狐」ブランドをさらに展開した飲食事業やロゴのキャラクターを活用したグッズ展開です。単なる飲食事業やグッズを作るだけでなく、幸運を呼び込む縁起物としてのブランドになれるよう戦略をしっかり立ててやっていきたいと考えています。

竹井  今後の展開が非常に楽しみですね。多方面で成功を納められている佐藤様の貴重なお話が伺え大変勉強になりました。本日はお忙しい中、お時間いただきありがとうございました。