㍿Digital Twins|デジタルの力で、見える効率化を。

2024年8月22日

デジタルの力で、見える効率化を。

インタビュー対象企業:株式会社デジタルツインズ

株式会社デジタルツインズは、シミュレーションによるデジタルツイン技術により、ものづくりのDX化、クラウド活用による所在に依らないものづくりをご支援いたします。

設立者は大手半導体会社で5年、大手自動車会社で31年の研究開発を通じ、民生半導体集積回路、車載半導体集積回路、集積化センサー、パワーエレクトロニクス応用技術、EV、HV先行車両開発及び、先進エンジン開発の経験があり、車両モデルなどの手段を活かし、OEM様には計測加工・評価も含め手の届きにくい部分のご支援を、サプライヤー様にはOEM向け製品開発へのご支援・ご協力ができると考えております。


会社名

株式会社 Digital Twins

設立

2019年10月

住所

静岡県裾野市千福が丘三丁目11番1

業務内容

デジタルツイン化支援事業


代表 辻 公壽

以前、アメリカンフットボールの学生日本一対社会人日本一対戦のチケットを頂いて観戦した事がありました。初戦は若さと勢いの学生代表が押していましたが、結果的に負傷者続出や得点効率などの差で、大きく社会人代表チームに水をあけられた事を鮮やかに記憶しています。これぞ経験値とチームワークの勝利、どんなプレーをすると怪我をするか、どう攻めれば得点になるかの経験値の差、仕事も同様だと感じました。

私は、いわゆる定年を迎えたエンジニアですが、これまで長年研究開発を行う中、多くのチャレンジで失敗や成功の経験があります。私は将来会社が経験豊富なエンジニアが集うサロンの様な場所として、それぞれの経験値と本人のやり甲斐と活かした効率的な技術支援で社会に貢献できる場になれば良いと思っています。


今回お話を伺うのは、株式会社Digital Twins 代表 辻 公壽 (つじ きみとし) 様です。

辻様とは、オリジナル製品に関する特許出願をきっかけに、お仕事をご一緒しました。

定年退職後、これまで最先端技術の開発に携われてきたご経験と広い視点から研究開発コンサルタントとしてご活躍されている辻様。お話を伺う中で印象的だったのは、辻様ならではの“効率化”の視点です。まだ会社を設立されて間もないながらも、開発を広く捉える辻様独自の感覚は、相談される方々が絶えない理由のひとつであると感じました。確かな技術はもちろんのこと、それだけではない「ニーズを先取り」するためにはどうすればよいのか、そのヒントが垣間見えましたので、ぜひご一読ください。

事業内容について

竹井  事業としてはデジタルツイン化支援事業とのことですが、実際にはどのようなサポートをされているんですか?

           基本的には、シミュレーション技術を活用して先行開発の補助を行っています。研究開発の場面では、実験のたびに完成品を造ってしまうと時間とコストもかかりますので、大企業、中小企業さんそれぞれの状況に合わせた開発サポートをしています。

その他にも、県や国が公募している事業にアイデアを出したところ選んでいただけたこともあり、受注につながっています。まだ会社を設立してから4,5期目ですが、これまでの人脈もあって相談に乗ってもらえませんか、と声をかけていただくことが多いです。

ご経歴と会社設立の経緯

竹井  辻様のご経歴をお伺いしてもよろしいですか?

           私は大手半導体会社で5年、大手自動車会社で31年の研究開発を行ってきました。長年現場でのものづくり経験に基づき、様々な技術領域に対応できるので、今までの経験を存分に活かせています。

竹井  会社設立の経緯はどういった流れでしたか?

           その当時はコロナ禍より前のタイミングでしたが、クラウドで仕事ができるような環境になれば通勤時間の削減、効率化が図れるのでこれを後押しできるような事業を立ち上げようと、ある団体で進めていました。そんな中、コロナが流行りだして、これ今じゃない?ってなって、会社を設立しようってスタートしたんですけど、すったもんだしていてそれは流れてしまい・・・。

結局、成り行きで企業勤務時代に経験もあったデジタルツイン化支援事業を開始しました。でもよく考えたらこの事業でもクラウドで仕事ができる環境づくりに大きく貢献できていますね。

会社の強み

竹井  御社の強みっていうと、どこになりますか?競合がいらっしゃるんでしょうか?

           同じ業種というとそんなに多くないですね。各企業の中ではやっておられると思うんですけど、ウイルスや機密情報の漏洩が心配されるのと、シミュレーションだけ出来てもなかなかいいものはつくれないので、外注すること自体あまり進んでないようです。

最近ぼちぼち増えてきたかな。展示会でも見かけるようになりました。海外の方も多いですし。実際、研究開発を全て自社内でやるとなるとコストも時間もかかってしまうので、得意な人達が集まって、公然とできるようになればいいなと考えています。 強みとしては、これまでの経験ですね。実際に半導体の設計、センサーの設計、ハイブリット車を作ってみたり、エンジンの評価をしてきたり、幸か不幸かすべて仕事でやってきているので、モデリングだけではなくその後の試行錯誤も含めての支援ができることに繋がっています

オリジナル技術の概要

竹井  クライアントの事業を支援する支援業を行う反面、貴社オリジナルでも技術開発されていますよね。この技術については、特許出願が公開になっていないので詳細は控えつつ、どのような技術なのか概要をお聞かせいただけますか?

           そうですね。要は工場のCO2排出量削減に関するものです。今、環境問題を解決するための動きがあり、欧州では既に炭素税などが導入されています。今後はその製品にどれだけCO2が使われたかバーコードで管理をし、多い製品にはペナルティが課せられるような社会になってくると予測します。そのニーズに先行して開発しました。

日本は特に化石燃料を多く使っているんですね。フランスの化石燃料資料率は8%で、特に欧州は再生エネルギーの利用が多いのですが、日本は化石燃料を75%も使っているんです。一生懸命作って、コストを頑張って削減してもここでペナルティを加算されてしまったら元も子もないので。工場のCO2排出量をモデリングすることで、貿易摩擦にやられず太刀打ちできるんじゃないかな、と考えています。

補助金の利用

竹井  補助金は利用されましたか?

   はい。今回の製品では、静岡県が主導している新成長産業戦略的育成事業※1の産学官連携型の補助金をいただきました。

竹井  静岡県産業振興財団が支援している補助金ですね。研究開発ってどうしても費用がかかりるので、そこで使えるのはありがたいですよね。今回取得できた補助金の額も比較的高額と伺っておりますので、とても助かりますね。

あと、特許出願の際には我々弁理士が所属する弁理士会が運営している特許出願等援助制度※2へもご挑戦頂き、無事に獲得できましたね。特許出願にあたって我々弁理士に頂く代理費用の約半額を負担してくれる制度で、額はあまり多くはないですが審査も厳しくなく、このような制度はありがたいですよね。

※1 (公財)静岡県産業振興財団による、静岡県と連携して新たな成長産業分野(次世代自動車、新エネルギー、医療・福祉機器、ロボット、航空宇宙、光、環境技術関連、CNF)をはじめ幅広く、産業応用・展開の可能性を有する新技術・新製品への実用化を目指した研究開発等の取り組みに対し、その開発費を助成する制度。 

※2 特許出願等援助制度とは、優れた発明、考案又は意匠の創作(以下「発明等」という。)及び事業活動の擁護に資することを目的として、特許出願、実用新案登録出願、意匠登録出願又は当該事業活動に使用する商標の商標登録出願及びこれらに関連する手続(以下「特許出願等の手続」という。)を行おうとする者に対して、日本弁理士会が援助する制度

開発の楽しさと、20年後の未来

竹井  開発っておひとりでやられているんですか?

辻           そうですね。最近もうひとり、私と同じように退職された方も手伝っていただき、2人体制になりました。あとはソフト開発と加工をお願いしている方が社外にいます。

竹井       そうなんですね。開発って、それ自体が楽しいものでないと、なかなか続いていかないと思うんですが、楽しく開発するために意識されていることってあったりしますか?

辻           (冒頭でも触れましたが)もともと、定年後に成り行きで作った会社で、続けられているのも不思議なくらいなんですが(笑) そういう意味ではサロンチックに、気軽に何人も集まって開発してもOKかなと思っています。

多くの会社は年齢で切られてしまいますが、ものづくりの場面だと経験がものを言いますよね。多分、若い人をいれた50人の研究開発チームより、ベテラン3人チームの方が成果は出たりするんじゃないかと思っていて。

以前、学生 対 社会人のアメリカンフットボールの試合を観戦したことがあるんです。最初は学生チームが元気いっぱいに戦っていたんですが、後半負傷者が続出して。終わる頃には社会人チームが倍以上の点差が勝っていました。社会人チームは何をやったら怪我をするかということを知っている。経験値ってすごいと実感した試合でした。 なので、そろそろ定年で何しようかなという方々に、何もせず暮らすのではなくて今までの経験を生かして、自分で取ってきた仕事は責任もってやり遂げるみたいな。最近はウェブ上で完結できる環境も整っているので、ボーダーレスにそれこそクラウドで世界とつながって、エンジニアがいつまでもエンジニアとして働けるような環境を将来的に提供できればなと考えています。